呼吸や換気の働きを見る方法に主に1)肺機能2)動脈血液ガスがあります。

肺機能とは皆さんがよくご存じの肺活量が有名ですね。これも大事な肺の働きを見る上で大事な目安になります。肺機能にはたくさんの測定する物がありますが、この呼吸管理で必要なのは「肺活量」と「1秒量」だけでいいです。簡単にどう違うかを言っておきます。

「肺活量」は簡単に言えば、思い切り空気を吸い込んでこれ以上吸い込めないところまで吸い込んだら、今度はそれを時間に関係なくゆっくりはいてしまうのです。そのときにはいた空気の総量を肺活量と言います。
肺癌で片肺を取った方、結核で昔胸郭形成術を受けた方、肺が繊維化する病気の人(肺線維症)筋肉の病気の人などは肺活量は小さくなります。 一度にたくさんはけないのです。
ですから、浅い呼吸をたくさんの回数するようになります。でも、後で言いますように少しでも深い呼吸を少ない回数でもした方が効率はいいのです。

「1秒量」とはいったい何なんでしょう?これはですね、気道(空気の通る道)に狭いところがある時に値が下がります。肺活量も、1秒量も標準値があります。それは性別・年齢・身長で決まります。(体重は関係ないですよ・・フフフ)
この1秒量をはかるときは肺活量の時と少し違います。どうするかというと、思い切り吸い込んで、一気にはくのです。このときの最初の1秒でどれだけはけるかをはかるのです。健康な方は1秒と少しではきおえます。ですから健康な方は肺活量と1秒量は近い値です。
たとえば肺気腫や慢性気管支炎(あわせてCOPDといいます。ほとんど原因はタバコです) の方は1秒量は下がります。たとえば肺活量が3000mlあっても1秒量が800mlしかない方がいます。信じられますか?1秒量がさらに下がると肺活量も自然に下がってきます。

ここまでのお話、理解できたでしょうか?肺の換気の大きな目安はこの2つで十分です。

 

 

次に簡単に動脈血液ガス分析(以下、血ガス)についても簡単にお話しておきます。理由はさておき、正常な方の血ガスは

・PH(ペーハー)    7.35-7.45
PCO2(炭酸ガス分圧) 35-45Torr(トールと言いますmmHG・ミリバールのことです。)
・PO2(酸素分圧)  80-100Torr

患者さんまたは自分や家族のデータをこれと比べてください。しかし、極端に違うからと言ってがっかりすることはないです。人間の身体はうまくできています。いろいろな状態に対応してゆきます。

簡単にこの3つを説明しますと、PHは正常範囲からかなり逸脱すると重篤な状態になります。たとえばPH 6.9などになると、ほとんど生きて行けません。病院到着時がPH 6.9でも救命するのは大変難しいことなのです。
PHが7.35以下になると血液が酸性になったと表現します。逆にPHが7.45以上になるとアルカリ性になったと言います。

PCO2は「換気の目安」であって、呼吸が浅くなったり、回数が少なくなって、いわゆる分時換気量が減ると身体にCO2がたまるのです。CO2は換気によって体外に出しているのです。そしてCO2は酸性ですからCO2がたまると(PCO2が45以上になる)PHも下がり血液は酸性に傾きます。

PO2は肺の健康状態を表しており、肺がよくなれば上がってゆきます。逆に悪くなると下がってゆき、酸素が必要な状態になります。

ここで少し難しいことをいいますと、換気の目安であるPCO2が正常でPO2だけ下がる場合は、酸素を投与すればいいのです。
しかし、PCO2が上昇してしかも
PO2が下がっている場合は、酸素を投与することが大事ではなく呼吸(換気)が十分できていないことが問題なのであって、まず換気を補助することが第一に重要なことになるのです。

この二つの区別が付けばあなたは、もうこれ以下を読む必要もないくらいです。
さらに詳しく知りたい方は下の血液ガスのPDFファイルをダウンロードして読んでください。

でもほとんどの方、(ナース以外)はそこまで知る必要はないので、無視してください。


目次の4)どんな病気で酸素が必要になるのか? 5)酸素の医学的な効能とはどんなものがあるのか? でいろいろな例を挙げて説明します。しかし、ここがわからなくても次に進んでいただいても差し支えないようにします。

動脈血液ガスの解説(ナース用、PDF)

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